落下衝撃性に優れたはんだボールを開発

2011年1月19日

背景

半導体パッケージ部品内の集積回路の接続方法は、ワイヤーボンディングからソルダーボール接続へと移行し、更なる高密度化が進んでいる。特に、スマートフォン・ノート型PCに代表されるモバイル機器においては製品の特性上、落下・衝突による衝撃は不可避であり、今後、搭載される半導体パッケージの更なる高密度化が進むことからも部品接合部において落下衝撃性は重要な要求特性である。

各種パッケージ電極に対して、高い落下衝撃性を発揮

パッケージ電極に汎用的に使用されている電解Ni/Au電極に加え、実装形態の変化・部品コスト低減・電極設計の自由度向上等の理由により、Cu水溶性プリフラックス処理、無電解Ni/Pd/Au電極についても検討されている。

そのような背景の中、SMICは各種パッケージの電極に対して安定した高い落下衝撃性を発揮するECO SOLDER BALL M61を開発した。

従来組成と比較し、数倍の落下衝撃性向上を実現

従来、耐落下特性に有効とされている低Ag組成と比較し、開発品であるM61組成は 電解Ni/Au電極・Cu水溶性プリフラックス処理・無電解Ni/Pd/Au電極の各電極に対し、約3倍以上の耐落下特性の向上を実現した。

接合部に落下衝撃が加わった場合、接合界面に生成される金属間化合物層にて破壊が発生する傾向であることから、開発品であるM61については従来組成と比較し接合界面の化合物生成をコントロールすることにより高い落下衝撃性を実現した。

又、接合時の熱負荷により接合界面反応の促進に伴う、落下衝撃性の低下についてもM61については極めて小さく、製造工程毎の熱履歴に対しても安定した特性を発揮することが可能である。

(添付データ参照)

※表中の数字は繰り返し落下試験により接合部の破断に至った落下回数

  はんだ組成 備考
パッケージ電極 Sn-1.0Ag-0.5Cu M61(Sn-Ag-Cu系)  
電解Ni/Au電極 50回以上 170回以上  
Cu水溶性
プリフラックス処理
40回以上 120回以上 従来組成では熱負荷により特性劣化傾向
無電解Ni/Pd/Au電極 110回以上 330回以上  

試験条件
基板側電極:Cu水溶性プリフラック
基板サイズ:30×120×0.8t mm
PKGサイズ:12×12 mm, 0.5mm ピッチ(192ピン)
実装ペースト:Sn-3.0Ag-0.5Cu
衝撃加速度:1500G
接合部破断判定:直列回路により抵抗値を測定し、抵抗上昇で破断を判定

 

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