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自社の体制とサプライチェーンの強化を図り、しなやかに乗り越える

千住金属工業グループの2023年度CSRレポートをお届けいたします。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は収束を迎えつつあるものの、国家間での戦争、政情不安による内戦や内紛、原材料価格の高騰、気候変動による災害激甚化といった問題が、社会経済へ大きな影響を及ぼしています。

このような社会情勢を鑑み、今年のCSRレポートは、昨年の続きとして「ResilienceⅡ ‒ いかなる状況でも、しなやかに誠実に乗り越える‒ 」をテーマに、BCP体制と安全衛生にスポットを当てることといたしました。

お客様への供給責任を継続して果たすためのBCP体制の確立

昨年、COVID-19による上海市ロックダウンやマレーシアでの大雨による洪水で当社の製造拠点が被災し、お客様への供給が困難な状況になりましたが、世界中にある当社の製造拠点にて供給をカバーできるBCP体制があったため、大事には至りませんでした。

今後このような事態になっても安心してお客様に供給できるよう、すべてのはんだ材料におけるBCP体制のより一層の強化と、水害や地震などの自然災害に対して、施設や社内インフラの改善などの防災対策強化を進めています。

従業員が安心して働くことができる職場づくり

安全衛生においては、防火対策として当社のグループ会社である千住スプリンクラーが開発した水道連結型スプリンクラーを国内製造拠点に配備し、万が一工場内で火災が発生しても従業員が安全に避難できる避難ルートとシステムの確立を進めています。

また、常に人がいなければいけない工場は労働災害発生率が高いとされていることから、製造設備の自動化やIoT化を行い、従業員の作業負担軽減と職場環境改善を図ることで、ヒューマンエラー防止による安全性向上を進めています。

サステナビリティに貢献するうえで大事な収益性

サプライチェーンやBCP、安全衛生など、事業活動における様々な問題に対して適切な対応を継続的に取り続けるには、それを実現可能とするだけの収益を確保しなければ成し得ることができません。

そのためには強固な収益基盤のもと、事業環境の変化に対してしなやかに対応できる企業であり続けることがサステナビリティへの貢献につながると考えています。

また、問題の対応に当たっては、事態や状況をきちんと把握したうえで、当社にとって有効な方法を見極めることが重要と考えています。周囲一般の情報を精査し、これまでの経験を生かしながら、自社に合った対応を講じていきます。

これらの対応については、全社員に情報を共有し、その重要性について相互理解を図りながら進めてまいります。

カーボンニュートラルに貢献する低温ソルダリングソリューション

「次の世代に何が残せるか?」 重金属を扱う製造会社として、私たちが考えなければいけない一番の課題です。世界で課題となっているエネルギー供給や地球温暖化に向き合うなかで、私たちは「低温化」をキーワードに事業活動を進めています。

錫ビスマス(Sn-Bi)組成の低温はんだは、現在一般的に使われている鉛フリーはんだより融点が80℃も低く、融解に必要なエネルギーが少なく済むことでCO₂ の排出も削減でき、さらに人体への毒性も非常に低いはんだ材料です。

このようなメリットの一方で、非常に硬くもろいため量産化が難しく、また低融点という特徴からドロス(はんだの酸化物)が発生しやすいため、これまでははんだ付け装置による実装が非常に難しいとされていました。

このような材料は、お客様が使いやすい形にし、かつ安定供給ができるようにしていくことが必要だと考え、材料・設備・工法のそれぞれにおいて、我が社の技術力を結集させ、低温はんだ使用時の問題点を乗り越えた、低温はんだ実装によるCO₂排出削減に貢献できるソリューション「MILATERA(ミラテラ)」を立ち上げました。

当社が次の世代に残していくもののひとつとして、公器としての役割を果たしていきたいと考えています。

千住金属工業グループは、皆様のニーズに応え、持続可能な社会を実現するための事業活動に今後も取り組んでまいります。今後とも、一層のご支援とご鞭撻のほど、お願い申し上げます。

当社のマテリアリティ