[1980年代] 第一世代前半 鉛フリーはんだ化への着眼

故 佐藤 一策 前会長
社長在任期間 昭和59年7月~平成20年6月
会長在任期間 平成20年6月~平成24年9月

前会長であった佐藤一策(当時社長)は、自身が若い時代に赴任したドイツで、産業発展に伴う酸性雨による環境汚染の影響で、緑豊かな“黒い森”と呼ばれたシュヴァルツヴァルトの木が枯れる姿を目のあたりにしました。この経験により、千住金属工業は重金属を扱う企業として、地域保護並びに業界保護のため、環境問題に対して危機感を高めなければならないとの強い意志を持つにいたりました。

当時は社会的に鉛フリー化の活動は一般的ではありませんでしたが、鉛による環境汚染が大きな問題となるといち早く察知し、真摯な態度でこれを受け止め、左記の3項目の実現を市場の要望よりいち早く積極的に手掛けることで、社会貢献を目指しました。

経営者としての先見的な洞察力と企業努力は、い ち早くSn-Ag-Cu系の鉛フリーはんだを製品化し、鉛フリーはんだの導入に苦慮している多くのお客様の課題解決に大きく貢献しました。また、千住金属工業はこれを契機に「世界的に飛躍する企業」へと発展しました。

1.鉛はんだ問題の情報入手と情報発信

2.鉛フリーはんだの開発と実用化

3.鉛フリーはんだ量産の設備投資

[1990年代] 第一世代後半 鉛フリーはんだの開発実用化で社会貢献

世界の業界標準品の開発

千住金属工業は、5,000年続いた鉛を主成分とするはんだから、鉛を一切使わないはんだを開発・実用化することで、「地球環境保護を可能とするはんだ」としての新しい価値を創造し、大きな社会的貢献を果たしました。これは、経営の理念を実践している結果です。

千住金属工業は、「M705」という商品名で世界に先駆けてSn-Ag-Cu鉛フリーはんだを開発し特許を取得、この特許を公開することで世界の標準的な材料として鉛フリー化が促進されました。この材料を日本の大手TVメーカーが参画した国家プロジェクトの推奨材料となったことも広く普及される結果となりました。

[2010年代] 第2世代 材料コスト削減で社会貢献

JEITAの第二世代鉛フリーはんだ(低銀はんだ)の開発

▲低銀はんだ製品(M40/M46)

▲Panasonic様 エクセレントパートナー技術開発貢献
銀賞(2011年受賞)

鉛フリーはんだ化には。「銀などの高価な希少金属を用いるため高価となる」「溶融温度が高くなり実装温度が上昇する」などの課題もありました。

千住金属工業は、接合信頼性やはんだ付け性を損なわず高価な銀を極力使用しない、低価格な低銀鉛フリーはんだ(M40等)の開発を世界に先駆けて実現しました。 また、低銀化に伴い実装温度の上昇が懸念されましたが、優れた合銀化技術で従来の鉛フリーはんだと同等の条件で実装できる低銀鉛フリーはんだも開発・実用化しました。

こうした、低銀鉛フリーはんだは、大手日系家電メーカーのテレビなどAVC機器への採用によって世界に普及され、希少な銀の資源を確保すると常時に同社の材料費の大幅な削減に寄与し「環境と経済」を両立させました。 千住金属強豪は、希少金属の保護と材料費のコスト削減で社会に貢献いたしました。

JEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association:電子情報技術産業協会)

[2013年代] 第3世代 省エネ実装で社会に貢献します

長谷川 永悦 社長
社長在任期間 平成20年6月~

千住金属工業は、もう一つの「実装温度の上昇」という課題にも積極的に挑戦しています。市場での鉛フリーはんだ化が定着し、部品の端子めっきに鉛が使われなくなった事で、180℃で実装可能なSn-Bi系低温実装鉛フリーはんだの採用に加速が ついています。

千住金属工業は、フラックス残渣が接合を補強する低温実装用Sn-Bi系鉛フリーはんだを開発し、同材料の課題を解決する製品を開発するなど、軸足は省エネ実装化に移行しています。

このほか、はんだ付け工程での炭酸ガスなどのGHG(グリーン・ハウス・ガス)排出抑制材料やはんだ付け装置を次々に開発し、カーボンフットプリント(炭素の足跡)などLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)を意識した、本格的な環境配慮型製品の創出で社会に貢献し続けたいと考えています。

Sn-Bi系はんだペーストお客様数(評価中のお客様含む)
Sn-Bi 系鉛フリーはんだ

▲ Sn-Bi 系鉛フリーはんだ