地震国、日本のライフラインを守る合金線

2025年には世界の人口の3分の2が水不足に陥ると予測されている21世紀。日本の水道普及率は97%を超え、水道は文字通りライフラインであり、必要不可欠のインフラです。地震国日本の水道管路には、耐震化と更新コスト低減化を実現させる長寿命化が要望されています。全国に張り巡らせた水道管の総延長は約64万kmに及びますが、その内の約55%が高強度で伸びのある強靭な材料ダクタイル鋳鉄を用いた“ダクタイル鉄管”です。このダクタイル鉄管は、地盤変状に柔軟に対応できる耐震性や優れた耐食性などの特徴を持っています。

長寿命化を実現させる亜鉛合金の溶射

100年を目標とする耐震管の長寿命化を実現させるためには、ダクタイル鋳鉄外面に耐食被膜を形成させ防食性を高める必要があります。この耐食被膜には保護被膜作用と犠牲防食作用の2つの特徴を有する、亜鉛系溶射めっきが一般的です。錆を防ぐ保護被膜作用は、溶射めっき被膜の表面にできる亜鉛の酸化物が空気や水を通しにくく安定にし、腐食を防ぐ犠牲防食作用は溶射被膜に万一傷が発生し、素地の鉄が露出したとしても、傷の周囲の亜鉛が鉄よりも先に溶け出して電気化学的に保護するために鉄を腐食させません。

技術革新で耐震皮膜の量産化に成功

次世代型水道管用の、防食性を発揮させる合金はZn-Sn-Mgなど亜鉛系合金ですが、硬く延性に乏しく溶融温度領域が大きいために、溶射用合金として線材に加工することは非常に困難な材料です。千住金属工業は、はんだ材料の開発や量産化の固有技術と生産技術・製造技術を更に進化させ、良好な溶射性能を発揮するZn-Sn-Mg線材の開発と量産化に成功しました。また、ユーザーコストの削減を実現させるために数千mに及ぶ長い線材の製品化と、加工しやすい形状での包装形態で納入しています。更に細い線材も開発しており、安価な接合材料として電子部品への応用も実現しています。

千住金属工業は、耐震日本のライフラインを守るダクタイル水道管の量産化の一翼を担わせていただき、
社会の皆様に貢献しています。